高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族のあゆみ

高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族の記録

吹奏楽コンクール 九州大会当日

 いよいよ九州大会当日。みゆきは無事起きれただろうかと思っていたら、朝7時彼女から電話。「起きました!」と爽やかな声。

 

 私も彼女の弟と会場へ。会場への長距離バスの中、彼にみゆきの病気の詳細やそのメカニズムについて話をした。発病から1年。みゆきが慢性疾患で苦しんでいることは、もちろん家族も知っている。ただ弟の方も同じ高校の1年生で、運動部にも入っているのでいつもいつも忙しく、詳しい話をしたことがなかった。生活リズムの違う彼とは、同じ家に住む家族でありながら、臥せっていることの多いみゆきと顔を合わす時間が少ない。起立性調節障害について書かれている本も彼に渡して、この機会に読んでもらう。今まで彼は、みゆきが鬱なのではないかと思っていたらしい。なので触れてはいけない領域だと彼なりに気を使っていた様子。

 今まで担任の先生に病気をわかってもらえないと悲観していたけれど、そもそも私は、身近な家族にすら説明する努力をしていなかったのだ。そのことに愕然とする。わかってもらいたい人には、丁寧に丁寧に説明しなくてはだめなのだ。

 

 コンサート会場。みゆきたちの演奏は素晴らしかった。おなじみの強豪校の演奏は、迫力があり、演奏者の統一感もあって本当に素晴らしい。確かに迫力には欠けるものの、みゆきたちの演奏は繊細で美しかった。もしかすると全国大会もあるのではないかと思えた。

 しかし結果は銀賞。全国大会は夢と消える。健闘しただけに残念でならない。

 

コンクール終了後、会場を出たみゆきからメールが届いた。

 

 「今まで、サポートありがとうございました。

  おかげで素晴らしい経験ができました。

  金賞は取れなかったけれど、

  出し切ったという実感があります。」と。

 

 病気で苦しい思いをして、真っ暗だと思っていた日々に、

ぽっと射す明かりを見た気がした。

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