高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族のあゆみ

高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族の記録

就職

 大学時代に出逢った ”写真" に魅せられて、みゆきは写真家になる道を選んだ。東京で職を得て、大学寮を出る。正真正銘の一人暮らしの始まりだ。

 朝ごはんをしっかり食べ、お弁当を持って早朝に家を出るというのが、彼女が自分で作ったルール。でも、時には疲れすぎて、そうできないこともあるだろう。時間の不規則な仕事なので、職場から徒歩圏内に住まうのが職場のルールらしい。歩いて職場に向かう。満員電車が苦手な彼女にとって、毎日、徒歩で職場と自宅を往復できるというのはありがたい。コンスタントに軽い運動ができるということだ。

 ただ、時間が不規則なのが心配だ。早朝から夜中まで働くということも、珍しくない。しかも重い機材を扱う重労働もある。ステップアップのために自主練習も欠かせない。時には夜中まで練習することもあるらしい。

 時間が不規則な仕事というのは、親としては最も心配なことだ。ただ、世の中に大変でない仕事などないのかもしれない。好きなことを仕事にできるという幸せに感謝しなければ。

 仕事を始めて、ほぼ1年が過ぎた。仕事は楽しいようだけれど、やはり肉体的にハードな仕事。時々体調を崩すこともあった。重労働で首を痛めて動けなくなったり、ストレスで食事を摂れなくなったりも。でも具合が悪くなったら、病院に行くということを覚えた。就職したばかりで、休みを取るのは気が引けるだろうが、ちゃんと具合が悪いことを伝えて、休みを取って病院へ行くことができるようになったのは、ささやかな成長の兆しなのかもしれない。この先のことも心配でならないが、これは彼女が考え、決めていくことだ。

 

 ”長い人生、頑張ることも大切だけど、体を壊しては元も子もないのだよ。”

 と、私たちは心の中で念じ続ける。