高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族のあゆみ

高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族の記録

病院は変えて良い

 一般的には、一度病院を決めたら、安易にあちこち変えるものではないと言われる。確かに、同じ薬をもらうのに複数の病院へ行くのは良くないと思う。

 しかし、今の治療に納得できない時、治療の効果が感じられない時、主治医と同じ方向がむけない時は、新しい道を探して良いと信じている。

 それを痛感したのは、私自身のリウマチ治療の経験から。関節リウマチを発症した当時、激しい痛みで鬱々としていた頃。最初に紹介していただいたのは、県内でもその道の第一人者と言われる専門医。大学病院から独立されたばかりで、近代的で清潔な病院の環境も、とても快適だと思えた。この病院では、当初シェーグレン症候群だと診断された。明るく親切、その上病気や薬の説明も丁寧で、患者の話もよく聞いて下さる医師とも、とても良い関係が作れそうだと感じた。この方に治療を任せれば、すぐにでも、痛みのない生活に戻れると信じて疑わなかった。しかし、処方されたのは各種の痛み止めのみ。強い成分の入った座薬も、痛みが強い時のためにと頂いた。しかし、いくら強い痛み止めを飲み続けても、楽にならない。一生この痛みと付き合わなければならないのだと悲観した。しかしあるとき、何がきっかけだったか思い出せないが、ちょっと、ちがう病院へ行ってみようと思い立った。

 行ったのは、最初二番手として紹介された、昔からある総合病院のリウマチ科。総合病院なので診察までの待ち時間がとてつもなく長いと聞いていたので、痛みを抱えて長時間待つのはしんどいと感じて、敬遠してしまった病院だ。ここにも経験豊富な専門医がいると聞いていた。その医師、謙虚で親切、詳しい説明もして下さる方。最初のドクターと似ている雰囲気の方だったが、決定的に違うところがあった。それは、血液検査と、シェーグレン診断テストだけでなく、画像診断触診をして下さったこと。衝撃だった。最初の病院でずっと抱えていたモヤモヤした違和感は、これだったのだと気が付いた。

 結局、この総合病院では、シェーグレン症候群に関節リウマチを併発しているとの診断をしていただいて、関節リウマチの治療を始める。関節リウマチの画期的新薬が次々と使われるようになっていた時期だった。ほどなく今までの痛みや、悩みから解放されることになる。どうして納得のいかない治療を一年も我慢したのだろうと、悔やまれてならない。自分の中のモヤモヤや小さな違和感には、きっと何らかの理由があるのだ。その、説明のつかないような小さなサインに気づけるようになりたいと心から思う。