高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族のあゆみ

高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族の記録

片付けられない症候群と起立性調節障害の関係

 これだけ赤裸々に、みゆきの病状を書いてきたのにずっと今まで触れられなかったことがある。それは、高校時代、彼女が、極端に片付けられない人だったこと。小学生、中学生の頃にはそうではなかったと記憶している。自分の部屋を持つようになってから、彼女の自立心に任せて、掃除も自分でさせていた。片付け名人とは言わないまでも、汚なければ私の目についていたはずだから、片付けられない人ではなかったという記憶に間違いはないと思う。

 しかし、高校に入って課題にアップアップするようになってから、彼女の部屋は目を覆いたくなるくらい乱れていった。初めは、汚くて不快になるのは自分自身なのだからと静観した。そもそも私自身、子供の部屋を留守中に掃除するような賢母ではない。病気でなければ、”それで体を壊すなら、自業自得だ”と思ったかもしれない。しかし、体調も徐々に悪くなる中、普段の私なら、全く気にならない子供の部屋の散らかりようがどうも気になって仕方がない。焦点は、多分部屋の汚さではなかったはず。なのに「こんな中に寝起きしていたら、体調が悪くなるのも当然だよ!」と彼女が学校へ行けないイライラや不安を、彼女を怒鳴ったり叱ったりすることで私自身が解消しようとしていたかもしれない。その度にみゆきは大泣き。「掃除ができるくらいなら、さっさとやってるし、学校にも行ってる!」確かにそうだ。大泣きの後は、当然決まって具合はさらに悪くなり、悪循環のループに陥ることになる。

 彼女のその一言で、体調が悪すぎて、掃除などにも構っていられないのだと腑に落ちた。いや、言われる前から、頭では充分に理解できていたはずだ。しかし正直、時々湧き上がる腹立たしさはコントロールが難しい。彼女が物理的に掃除が無理なのだと理解はしても、自室で長時間臥せることの多い毎日、彼女の留守の間に掃除をするのは至難の業。今考えるとぞっとするくらい不潔な部屋で、長い期間過ごしていたことになる。これも体調悪化の負のループの一環だったに違いない。

 後に、友人のお子さんが中学生で起立性調節障害と診断されたと聞いた時、同じように、お子さんの部屋が信じられないくらい汚いんだよとぼやいていたのを思い出した。お菓子の包み紙すら、ゴミ箱に入れられず散らかっているのだと。片付けられない、掃除ができないというだけではなく、ゴミ箱にゴミを入れるという簡単な動作すらしんどくなるのだ。

 先日みゆきから、「花屋で見つけた花があまりに美しかったので、自分へのご褒美に少しだけ買って帰って、飾ったよ!」とメールがあった。今の彼女の部屋は、花が飾れるほどきれいな部屋なのだと想像する。また緊急事態宣言が出た東京。活動不足に陥りませんように。