高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族のあゆみ

高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族の記録

人生初の山登り

 みゆきから久々に連絡があった。ラインの画面に山の写真。それも、山の全景ではなく、山から見下ろしている風景だ。「1600メートルの山に登ったよ!初登山!カメラマンデビュー!!」とある。

 下山後の説明電話によると、みゆきの師事するカメラマンさんが山好きの方で、彼を取材したいという依頼のお仕事だったそうだ。当のカメラマンさんを取材する写真は誰が撮るのかという話になり、アシスタントのみゆきに撮らせようという話になったとか。「私が登山の途中で、ギブアップしたら取材が成立しないわけだから、必死だったよ!」と弾む声。

 ふと、以前に保険会社の方に言われた言葉を思い出した。「起立性調節障害を発症した方は、寛解後5年は保険に加入できない」。寛解をいつとするのかは微妙だ。しかし大学に入学してからは、時々激しい頭痛に苦しめられたものの、長期間学校を休むことはなかったので、大学入学の頃から数えると7年。確かに5年は過ぎている。

 弱弱しかったみゆきが、人生初の登山をできた。高校時代は、そもそも体育の授業には、ほとんど出られなかったので、激しい筋肉痛も人生で初めて体験するのかもしれない。師匠が買って下さった「鬱封じの自転車」が、この奇跡を引き寄せてくださったのかもしれない。