高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族のあゆみ

高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族の記録

大学時代の体調

 朝起きと、歩く習慣が好循環を生み、みゆきの体調は見違えるように良くなった。高校時代の彼女の笑顔は、何だか暗く陰りがあった。顔色が悪かったからそう見えたのかもしれない。大学生になってからの表情は底抜けに明るい。しかし大学時代の4年間、ずっと病気知らずだったかと言うと、そうとも言えない。定期試験の勉強やレポート、作品制作で睡眠を削ると、てきめんに激しい頭痛に襲われる。一旦激しい頭痛が始まると、痛み止めを飲んでも、なかなか回復できず、眠り姫になる。

 幸い大学を休むことは、ほとんどなかったようだが、長い休みに帰省すると、必ず眠り姫に戻る。一人暮らしの疲れや都会でもまれるストレスや、いろいろな溜り溜ったものが一気に噴き出すのかもしれない。

 大学3年になって、精神的にも体力的にも余裕が出たのか、アルバイトを始める。大学に入学して美術を学ぶうちに芽生えた、写真への興味から始めた、子供の写真を撮る会社の撮影アシスタントのアルバイトだ。

 アルバイトはとても楽しいようだった。が、大学の授業の無い日の、本来体を休めるべき時間に働くのだから、健康を脅かさないわけがない。案の定、アルバイトを始めてからまた体調を壊すことが増える。

 頑張りすぎると体調を壊すということに、なかなか自分では気づかないのが、親としてはじれったいところだ。だけれど、きっとこれは自分で、身をもって学んでいかなければならないことなのだろう。

 

 ”何かをあきらめること”は、時には命を守ることになるんだよ、

 と、私の中で、念じるようにつぶやく。