高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族のあゆみ

高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族の記録

母の2度目の介護調査

 鬱で入院中に行われた母の第1回の介護調査。昨年の7月だったと記憶している。入院中ということで、かろうじて要支援1の介護認定だった。それが、先日2度目の調査を受けることに。最近の母は、精神科の受診でも「お薬を減らしてください」と本人が進言するほど調子が良い。認知機能も落ちていない。昨年の半年以上の入院で衰えていた足腰も、週1のリハビリで随分回復。読書量も健常な私自身が舌を巻くほど。下手をすると月に5~6冊は読んでいる。編物や刺繍も楽しむ。この状態で介護認定が受けられるとは思い難い。しかし、介護認定がないとデイケアでリハビリを続けられないし、近い将来入浴介助が必要になった時に困る。現在入所している施設は、自立型の有料老人ホームななので、入浴介助は施設からは受けられない。介護認定をしていただいて、外部の介護士さんにお願いするしかない。それは、入居先の施設長さんも心配してくださっている点だ。その方に「調査員さんに、あまり何でもできるところを見せてはダメだよ」とあらかじめ注意していただいたようだが、「それはプライドが許しません」と母(笑)

 幸い母は片耳が聞こえにくい。日頃は驚くほどに切れ味鋭い受け答えをする母だが、多少だが調査員さんへの受け答えにギャップがある。しかし、認知機能の面では認定が受けられるとは思えないようなやり取り。ただ、身体機能はちょっと予想とは違った。立ったり座ったりは問題なくでき、ベッド上で起き上がることはできる。しかしベッドから立ち上がるためには、頭側にあるベッド柵をよけるためにベッド上にお尻をついたまま若干足側にズルズルと移動しなくてはならず、その移動に困難がある様子。右足がきちんと伸縮できず、痛みがあるのが原因のようだ。その状態では、右足の爪は自分では切れないと言う。そして右肩が上がりにくいので、衣類の着脱が不便だとのこと。ということは、段差の大きいお風呂の出入りや、入浴時に体を洗うのも難しいのかもしれない。もしかすると、心配しなくても介護認定は下りるかもしれないと、安堵する気持ちと、母のこの小さな不自由に気づかなかった自分が情けないような申し訳ないような。いくら元気な87歳とはいえ、やはり年相応の不自由はあるのだ。

 介護調査の終わりに面白いことが起こった。記憶を確かめるために、調査の最初に提示された3つの物。今回は人差し指のA4サイズの絵と赤いボールペンと調査員さんの車の鍵だった。が、調査員さんが最後にその3点が何だったかを聞くのを忘れたのだ。私もすっかり忘れていた。それをあろうことか母が思い出して指摘したのだ。「最後に何か質問をされるとおっしゃっていましたね」と。苦笑する調査員さん。「人差し指の絵と、何か赤いもの。そしてあと何だったかしら⁇」としらじらしい答えをする母。

 調査が終わって、調査員さんと包括支援センターの支援員さんが帰られた後、「もし介護認定が下りたら、新人女優賞を下さいね」と嘯く母。母にこんなウイットがあったとは。プライドが何とか言っていなかった?(笑)