高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族のあゆみ

高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族の記録

受験旅行

 彼女が受験するのは3校の私立大学。うち2校は、発病前に行きたいと思っていた大学。病気のために受験勉強がほとんどできなかった彼女だが、どうしても挑戦はしてみたかったようだ。落ちることは彼女も覚悟の上。残りの1校は、高校2年の夏に何校かのオープンキャンパスに行った際に、たまたま作品展をやっているというので見学を追加したアート&デザインの大学。あわよくばこの大学にひっかかれば・・・と思っていたらしい。

 たった一人で過ごした16日間。詳細は知る由もないが、どうにか一人で食事をし、自分で薬を飲みながら体調管理をし、予定通り3校とも遅刻せず受験することができた。彼女にとってこの体験は大きな自信になったにちがいない。

 彼女のこの”初めてのおつかい”ならぬ”初めての一人旅”には、大きなおまけがついた。帰省するはずの日、東京では交通機関がマヒしてしまうほどの大雪が降ったのだ。何と45年ぶりという大雪で、飛行機も飛ばない。一旦チェックアウトしたホテルに戻ろうとしたが、そのホテルはすでに満室。片っ端からホテルを探すが、どこも満室。途方に暮れる彼女。

 彼女のこの自立旅行の最後に、初めて私の出番が来た。夏にカイロプラクティックを勧めてくれた東京在住の私の従弟に応援を頼んで泊めてもらうことに。そこまで誰にも頼らずに過ごした彼女、最後の最後に誰かの力を借りることにかなり抵抗したが、結局他の道は閉ざされて観念した。

 おかげで、従弟に直に娘と会ってもらう初めてのチャンスができた。もしこの先みゆきが、東京で一人暮らしをするならば、いざというときに頼れる誰かがいてくれると心強い。大雪のおかげで、計らずも従弟と娘の顔合わせを果たせた。