高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族のあゆみ

高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族の記録

起立性調節障害発症から8年のみゆき

 みゆきが従姉の結婚式のために帰省した。折しも大型台風の接近中。日頃はラッキーを引き寄せる彼女だが、大事な時のフライトにはトラブルが絶えない。初めての一人受験旅行の帰りの飛行機は雪のため欠航。追加の宿泊先が見つからず苦労した。大学時代の夏の帰省の際には必ず台風とニアミス。比較的天候が安定している冬でも、彼女の帰省の際は今度は雪で飛ぶか飛ばないか毎回ハラハラドキドキ。でも受験旅行の時を除いては、ハラハラしながらも結局帰れているので、本人、自分はラッキーさんだと自覚している様子。今回も何とかギリギリ無事帰ってきた。彼女の乗った飛行機の次の便以降は完全に欠航してしまったので、彼女のラッキーは本物かもしれない。

 帰省の前日は深夜まで勤務をしていて、睡眠時間は1時間ほどだったという彼女。先週は、撮影が多く、夜は毎日遅かったと聞いていたし、台風接近もあって、さぞや気分が悪いだろうと想像していたが、意外だった。鼻炎で始終くしゃみをしている以外は元気。顔色も悪くない。悪くないどころか、肌が艶々としてとてもきれいだ。体調が良いのだと一目でわかる。帰宅するなり、台風がいよいよ接近する前に車で1時間余のところに住んでいる祖母を訪問しようと言い出した。「私が運転するよ」と言う。結局一時間睡眠の人の車には乗りたくないと言う家族の総意で、今回は、当然ながら運転は遠慮してもらった。高校、大学時代の彼女なら、車の中で仮眠した後は怪獣のように不機嫌で、目的地に着いた後も食事などできずに眠り姫になるのが常だったが、今回は車の中でウトウトした直後でも上機嫌で起きて、モリモリ食事をして、おしゃべりをして、まるで別人。大いに祖母を、いや、家族全員を驚かせた。

 相変わらず、一度に食べる量は多くない。だが、小間切れによく食べる。「故郷のあれが食べたい、これも食べたい」と食べる気も満々。水分補給も、日頃から気を付けているとは聞いていたが、実際必ず水分を持ち歩いてこまめに飲んでいるのが見て取れる。相変わらず線は細いが、重い撮影機材を始終持ち歩いているからだろう、腕の筋肉は目を見張るほど。自転車で鍛えた脚の筋肉もなかなかなものだ。今にもポキリと折れてしまいそうな、消えてしまいそうなほど透明で頼りない高校時代の彼女とは別人だ。当時お世話になっていた大学病院のドクターが、「ODさんは、水分、塩分、そして、運動」とよく言われていたのを思い出す。当時の彼女は、強い吐き気で水分を取るのことすら容易ではなかったし、運動が良いとわかってはいても、体を動かすことすらしんどかった。目に見えないほど少しずつ、一歩ずつ、ここまでたどり着けたという実感が湧いてきた。