高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族のあゆみ

高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族の記録

認知症と悪夢の関係

 認知症の方は、悪夢を見てそれを現実と取り違えてしまうということは、義母を見ていて知っていた。しかし、その悪夢が現実に起こり得そうな内容であると、話を聞いた方も夢か現実かの判断が難しくして悩ましい。

 義母は日頃から身だしなみに特別に注意を払う人で、パーマ、髪染めにはとても短いスパンで通っている。行きつけは、若い頃から馴染の美容院。着物の着付けもとても上手で、日本舞踊をしていた義母には、そこでなければならないお店。少し遠いので、車の送り迎えが必須。なので、特に私が運転できなくなってからは、夫と都合を付けねばならず、行きたいときにすぐ行けず不自由な思いをさせていたからなのかどうか、今回はその美容院の予約の前日に悪夢を見たようだ。

 予約の前日、美容院のご店主から電話があって、「以前あなたにあげたヘアピースを返してね。それにいつも持ってきて来てくれるパンは結構だから、持ってこないでね。」ときつい調子で言われたと傷ついて泣きそうになっている義母。嫌な思いをしてまで行かなくてもいいのでは、と予約をキャンセルしようと夫も私も勧めたが、長年お世話になってきたところでもあるし、「今日までは行ってヘアピースを返してくる」と言う。実際に何年も前に「使って下さいとプレゼントされたヘアピースを返してくれ」とはどう考えても解せないし、「パンは持ってこないでね」は実際のところ「いつも気を使ってパンを持って来て下さるけれど、気を使わなくて良いのよ、手ぶらでいらしてください」だったのではないかとも思うが、確認のしようがない。もしかすると、その美容師さんも義母と同年代なので、認知症など患っておられるのかもしれないとも考えられる。ともかく、一応送って行って、雰囲気がおかしければ、急用ができたとでも言い訳をして連れて帰ろうと思ったが、「いらっしゃいませ。どうぞお待ちしていました」という挨拶は普段通りで、義母も今までのガーン線が消えて笑顔だったのでそのまま予定通りパーマと髪染めをお願いして一旦退散。いつもどおり4時間後に迎えに行ったときは、普段通りの上機嫌。

 恐る恐る夫が、「これからも、同じ美容室に行くの?」と聞くと、「何でそんなこと聞くの?当然よ。今まで何十年もあそこにしか行ったことがないのだから」と義母。あれ?あのひどい電話のことは無かったことになっている!やっぱり夢だったの⁈

 悪夢だったか現実だったかは定かではないが、”思い立った時に思い通りのことが出来なかった”とか、お天気が悪いとか、そんなことがストレスとなって悪夢となるのかもしれない。