高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族のあゆみ

高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族の記録

学校についての問題提起

 みゆきの行った高校は、地方の進学校。毎年難関大への合格者も多い。多いとは言っても、全員というわけではない。スポーツに大きな比重をかける人も、芸術大学へ行く人もいる。

 しかし、授業はどうも難関大を目指す人向きに組み立てられているのではないかという気がしてならない。都会のように有名塾が多くないので、仕方のないことかもしれないが、1年次から課外授業が多い。早朝と放課後、そして夏休み、冬休みなどの長期休暇もほとんどが課外授業にあてられる。健康にこのスケジュールをこなしている時には気付かなかったことだが、これだけの課外授業は本当に全員に必要なのだろうか。

 正規の授業には勿論、課外授業にも宿題が出るし、予習が欠かせない。朝7時から夕方5時位までの授業と、それに加えて部活動をすると、帰りは夜8時を過ぎることもある。課題、予習は当然帰宅後になる。全部を真面目にこなそうとすると、就寝は深夜を超え、当然睡眠時間は極端に少なくなる。睡眠が必要な年代には酷な試練だ。

 何かを一生懸命に頑張るということは、確かに大事なことだと思う。若いからこそ体力的にも精神的にも充実していて、その時期、極限まで何かに夢中になるということはきっと大切なことだ。しかし、それが受験対策のテクニックや、暗記中心の勉強である必要はあるのだろうか。

 入学試験が必要ない、ということを言っているのではない。ただ高校生のこの時期に学ぶのは、大学で学ぶ基礎になるようなものであるのが理想的ではないか。大学で理系の学部を目指す人にその分野の基礎学習を必修とするのはわかる。だが、それ以外の分野を目指そうという人にまで強いる必要があるのだろうか。

 確かに自分の進むべき道が定まっていない人には、オールラウンドな基礎知識が必要だろうが、それぞれの進むべき道を見つける手助けこそ、高校教育がすべきことなのではないか。

 高校に通学するときの荷物の多さも問題だと思う。都会の高校ではそうではないのかもしれないが、昨今小学生のランドセルの重さを改善する方向にあるようだが、高校生の荷物の重さもぜひ問題にしてほしい。しかも高校指定の鞄は、リュックではなく、片手で持つタイプ。全身の骨格をゆがめかねない。これは学校に鍵付きのロッカーを備えれば、すぐに解決する問題ではないのか。

 高校の教師が、起立性調節障害など思春期の子供たちがが罹患することの多い病気に明るくないということも、問題だと思う。健康な人も、慢性の病気を抱えた人でも、気持ち良く学ぶ環境であってほしい。難関大を目指す人にとっても、難関大とは違うところを目指す人にとっても、もしくは目標を見つけられずにいる人にも、それぞれに必要な手助けが得られる高校ができたら素晴らしいと思う。