高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族のあゆみ

高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族の記録

ミステリーⅢ

 義父が入院して家を留守にして4週間ほど。「けんか相手がいなくて寂しい」と義母。物忘れの度合いは、毎日ガチャガチャ喧嘩してストレスを溜めていた義父と過ごす

日々に比べるとずっと軽いように思える。一緒の時には、「自分だけが家事をしなくてはならず、腹が立ち、疲れ果てる」と言っていた。よく頭痛や気分の悪さも訴えていた。そんな時には決まって、保険証がない、財布をどこにやったかわからない、書類がないと毎日のように探し物をしていた義母だ。それが義父がいなくなってからはそんなことがほとんどないように思える。体調も安定して、不定愁訴がない。出かける時に、何度か家の鍵がないと探したくらい。一人なのでしっかりしなくてはと気を張って過ごしているのかもしれない。だからこそ疲れてしまって「早く帰ってきてほしい」となっているのか。

 それが、昨日のこと。今度は靴がないと言う。日頃履いている靴は靴箱にしまわずに、履きやすいように玄関に一足だけおいてある。それがないと言うのだ。保険証や、携帯電話や、財布などをどこに置いたか分からなくなることは、健康な我々でも往々にしてあることだ。しかし靴がなくなるというのは、新鮮な驚きだった。ベランダや庭、菜園、勝手口など思い当たるところは全部探した。勿論、靴箱の中もだ。しかし、どこにも見当たらない。まさかと思いながら押し入れや、クローゼット、保険証などの探し物の時に、決まって出てくるお気に入りの場所も見た。しかしない。

 義母も私も探し疲れて、しばらくは日頃は使っていない靴で急場しのぎをしようと話し合って、それぞれ帰宅した。それからしばらくして、義母が大笑いしながら訪ねて来た。「あったよ~!」と。

 

 何と!! トイレから出て来たそうだ。「あなたがトイレに持ってった?」と義母⁈