高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族のあゆみ

高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族の記録

兄弟姉妹の足並み

 心具合の悪い母を何とか一刻も早く近くに呼び寄せたくて、弟夫婦にも協力要請をするが、反応が薄い。「一過性の不調なのかもよ」とか、「静かな田舎暮らしに勝るものはないよ」と、するりと逃げられる感じが、私にはじれったくてたまらない。私がせっかちな気性だということは重々自覚している。自覚してはいるが、後になって「早くこうすればよかった」と悔やみたくないのだ。

 義父母の介護の場面でも、骨折してお風呂にも入れない義父を見るに堪えず、介護施設の短期入所を提案すると「お世話が楽になるから賛成」と言ったのは義母だけで、実子たちは難色を示した。義父本人が疎外感を感じるかもしれないからという理由だった。永遠に入所してもらうという話ではなく、ギブスをしてお風呂に入れない期間だけ、プロの手を借りて快適に過ごしてもらうのがいいのではないかと思っただけなのに。義父の介護認定の件もそうだ。自立度の高い義父なので、そもそも介護認定されるかどうかは疑問だけれど、認定がないと義父は家に閉じこもりきりで、義母と日がな喧嘩をして過ごすことしかできない。ギブスが取れて散歩はできるようになったが、筋力が低下して前のように長い散歩はできない。介護認定を受ければ、リハビリ施設も使えるし、お話好きの義父なのでサロン的なデイケア施設は楽しく出かける居場所になるに違いないのに、実子たちは何故か介護認定を受けることに乗り気ではない。

 病院の付き添いや、どこかに楽しいところへドライブに連れ出したり、ショッピングしたり、義父母を連れ出したら、刺激も増えるだろうし、そもそも自分たちも楽しいだろうに、考え方の違いというのは、大したことではないようで、実はかなり大きなことのような気がする。

 母の話に戻るが、どうしたものかと悩んでいる。田舎の家を売って、今後何度も施設を移動しなくて済むような快適なケアハウスのようなところに入れるか、それとも介護度が付くまでは、田舎の家を残しながら我家にできるだけ近い賃貸物件に入ってもらうか。それとも割と安価な食事付きの老人マンションのようなところに入れるか。そんな話も姉弟間でじっくりしたいのに、母のこれからの人生に対する関心度に温度差があるのが悩ましい。母がすごいお金持ちだったら、こんな心配や葛藤はなかったのかもしれない。今までお金を持っていることに無関心で、資産を増やす努力をしてこなかった報いを受けているような、何とも言えない嫌な気分だ。母を攻める気持ちはさらさらないが、自分たちの老後については、絶対に子供たちの頭を悩ますことはしたくないと改めて痛感する。