高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族のあゆみ

高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族の記録

医師との面談

 医師との面談は、意外なことに満足のできるものだった。数日前に態度の悪い病棟の看護師を見ていたし、檻のような病室を見ていたので、恥ずかしながら最悪な面談を想像していた。面談に同席してくださったのは、担当ケアワーカーさんと、主治医、そして母のいる病棟の看護師さん。

 まずは出迎えて下さった連携室のケアワーカーさんが、とても感じよかった。面談日の調整の時の電話で話したその方が出迎えて下さり、電話での会話以上にさわやかな笑顔とテキパキしたお仕事ぶりで気持ち良かった。担当のドクターもお話が通じる感じの良い方とお見受けした。入院時に弟夫婦に説明した通り、闇雲に薬を使いたくないこと。検査をしっかりしてから治療に入りたいことを真っ先に断言された。母の場合、体調が悪かったせいでMRI等の検査が延び延びになって今に至ってるとのことで、今まで、経過や治療方針の連絡が来なかったわけが理解できた。

 治療の目標を医師から尋ねられたことも、幸いだった。私たち家族が、母の介護がしんどすぎてそれを逃れるために、厄介払いのために病院に入れたのではなく、”最終的目標は、(元の一人暮らしは無理だとしても)家庭的なグループホームなどで自宅に近い環境で尊厳を持って幸せに暮らせること”なのだということを公言できて、私も溜飲が下がったような気がする。

 面談後、面会をしませんか?と聞かれて、戸惑った。ほんの数日前の母は私を認識できていないようで、帰り際一緒に帰りたいとしがみつかれて胸が張り裂けそうになったことを話すと、会議に同席していた看護師さんが、「今日は随分ご機嫌良いですよ」とのこと。半信半疑で病棟へ行くと、ご機嫌な母が満面の笑みで迎えてくれた。

「あら?あなた、忙しかったのじゃないの?」「この間来た時の奇麗なお洋服じゃないのね?いい年なのだから、きちんとした格好をしなくてはね」と開口一番柄にもなく私への小言。無反応だった日のこともちゃんと覚えているのだ!面会時間15分間しゃべりっぱなし。そもそも物静かな口数少ない母がこんなにもまくしたてるようにしゃべることには、かなり違和感はあった。それでも会話ができるのが本当に嬉しい。言いようのないほど嬉しくもあり、きっとこれは薬のせいだと思うと、空恐ろしくもあった。この日、先日の暴言看護師はいないようで、直接お話をしたどの看護師さんも感じが良かったので、胸をなでおろした。いい人ばかりではないのは、残念ではある。特に精神疾患の患者さんと接する病棟では、優しい看護師さんでいてほしい。しかしどの世界にも理想的でない人はいるものだ。大騒ぎすることはなさそうでほっとした。