高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族のあゆみ

高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族の記録

認知機能検査

 前回の受診の時には、来年の3月に予定されていた認知機能検査(MMSE)、キャンセル待ちのリストに入れていただいていたら、驚くほど早くキャンセルが出た。本人は勿論、家族もビックリ。特に免許更新のための認知検査を受けなければならない動揺が収まらぬうちの出来事。考えようによっては、MMSEの結果を見て、判断すれば良いだろうという気持ちになった。もし、今回の結果が良ければ、免許更新時に必要な認知検査の時の下準備ができるかもしれないとも思えた。

 MMSEは、時間の見当識、場所の見当識、即時想起、注意と計算能力、遅延再生(短期記憶)、言語的能力、図形的能力(空間認知)が問われる検査だとか。別室に本人だけ呼ばれ、10~15分だっただろうか。明るい顔で出て来たので、結果は良かったに違いない。

 ところが、後の診察で突きつけられたのは、「運転は、残念だけどやめましょう」という驚きの結果。22点/30点は、軽度~中程度の認知症だそうだ。イライラしないようメマンチンというお薬も加わった。

認知症と車の運転

 義母の物忘れが気になり始めてから、ずっと気掛かりだったのが車の運転のこと。本人も自分が健康な頃と同じではないことは自覚しているようで、運転する機会が極端に減った。遠出はそもそもしない。コロナの影響もあって、大好きだったミニテニスにも行かなくなったし、カラオケ教室にも昨年の長期入院以来全く行っていない。車で20分位の美容院へも一人では行かなくなった。今のところ、車で出かけるのは、車で10分のスーパーへの買物くらい。週に2度デイケア施設へ怪我のリハビリに半日行くので、忙しく、以前のように毎日買物に出かけることはまずない。おおむね買物は週に2度くらい。最近は義父を同伴して出かけるようになったので、しばらくは大丈夫かと考えていた。

 しかし、昨日のこと。運転免許証の更新の案内が来た。80歳なので、当然認知検査を受けなければならない。絶句してしまった。確かに、運転ができる状態なのかを客観的に見てもらえるのはありがたいし、家族が「運転止めようよ」と宣告しなくて良いのも理想的ではある。ただ、もし、結果が悪かった場合、もう運転できないのだと突きつけられることになる。そうなると、大きな精神的打撃になるに違いない。車で買物に行けなくなってしまうと、私への依存度も急に高くなり、遠慮をしたり、自信を無くしたりするのだろう。突然降ってわいたこの状況に動転しているのは、実は私自身かもしれない。

 

認知症と疲れの関係

 認知症起立性調節障害だけに特有の共通点があるというよりも、様々な病気でそうなのかもしれないが、みゆきが、大きな試験や行事などで疲れると何日も寝込んだように、義母も疲れると調子が悪そうだ。

 先日の認知症外来の日、車で30分位のドライブに加えて、慣れないドクターとおしゃべりをしなくてはならない緊張感などで疲れたのだと思う。当日、義妹とのおしゃべりをあれほど楽しんで、病院に行って専門家に診てもらった安堵感で心軽やかな様子だった姿とは一転、次の日の義母は、どんよりと暗い。何もしたくない。久しぶりに爽やかな晴天に恵まれて、義父とも今日は楽しく過ごせるだろうだろうと思ったのだが、疲れには勝てなかったようだ。またしても大声で怒鳴りあっている。

 もともと、農家出身で、人生を通して重労働を長年こなしてきた勤勉な義母。基礎体力が半端なくあると感じてきた。力も強い。2020年夏の大怪我からの復活も、この体力があってこそのものだったと思う。しかし、最近の義母の疲れの具合は、今までとは別人。ここ1,2年で劇的に変わっていると感じる。

 ドクターに、”散歩が一番身体に良いからね、少しくらい頭痛があっても、散歩はしようね”と言われて、”早速今日から散歩します”と元気に答えていたのに、散歩どころではない。

 なるだけ、義母のできることを奪わないようにと心に決めてはいるが、今日は、夕食を差し入れることに。義父母の食事の適量がイマイチわからないので、ちょっと不安。

 

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認知症外来二度目の受診

 認知症を診断していただいた病院の二度目の受診。1ヵ月前に出していただいたお薬の副作用が出ていないかを確認の上、次回の受診までの3ヶ月先分のお薬を処方していただく。義母は、まだ車の運転をしているので、なるだけ早い時期に詳細な認知症の検査をした方が良いのだろうが、検査待ちのウエイティングリストは想像以上に長く、予定では半年後の予約しか取れない。ただ、キャンセルが出たら予定より早めて下さるとのこと。

 予定している検査は、認知症機能検査(Mini-Mental State Examintaion)。これは認知症の重症度を簡易的に判断するための、神経心理検査だそうだ。インターネットで内容を調べてみると、義母の場合高得点がでるのではないかと思われる内容なので、かなり軽度の認知症という判断になるかもしれない。

 今回の受診も、義妹が同行してくれたおかげで長いドライブも快適。認知障外来ということで緊張していた義母も、ドライブ中の和やかな会話にリラックスできている様子。受診で自尊心が傷つくのではないかと心配していたが、どうも思い違いをしていたかもしれない。普段、自分の物忘れを自覚して不安にさいなまれているからこそ、専門医に診てもらえるという安心感、安堵感があるのだと思う。老齢で難聴の夫と一日中一緒という風通しの良くない単調な日常から、しばし解放される心の軽さもあるのかもしれない、普段より記憶の調子も良く、明るく楽しそうだ。時々、病院の受診とは別に、こんな時間を作ってあげられると良いのかもしれない。

 

人生初の山登り

 みゆきから久々に連絡があった。ラインの画面に山の写真。それも、山の全景ではなく、山から見下ろしている風景だ。「1600メートルの山に登ったよ!初登山!カメラマンデビュー!!」とある。

 下山後の説明電話によると、みゆきの師事するカメラマンさんが山好きの方で、彼を取材したいという依頼のお仕事だったそうだ。当のカメラマンさんを取材する写真は誰が撮るのかという話になり、アシスタントのみゆきに撮らせようという話になったとか。「私が登山の途中で、ギブアップしたら取材が成立しないわけだから、必死だったよ!」と弾む声。

 ふと、以前に保険会社の方に言われた言葉を思い出した。「起立性調節障害を発症した方は、寛解後5年は保険に加入できない」。寛解をいつとするのかは微妙だ。しかし大学に入学してからは、時々激しい頭痛に苦しめられたものの、長期間学校を休むことはなかったので、大学入学の頃から数えると7年。確かに5年は過ぎている。

 弱弱しかったみゆきが、人生初の登山をできた。高校時代は、そもそも体育の授業には、ほとんど出られなかったので、激しい筋肉痛も人生で初めて体験するのかもしれない。師匠が買って下さった「鬱封じの自転車」が、この奇跡を引き寄せてくださったのかもしれない。

認知症と天候の関係

  起立性調節障害で苦しんでいた頃のみゆきの症状は、天候に大いに影響を受けた。天候が崩れる直前から、天気の悪い日は、決まって具合が悪かった。台風の接近も大敵だった。また、気温にも大いに影響された。冬は相対的に調子が良く、気温が上がる初夏から初秋までは調子が悪くなる。気温が高くなると具合が悪くなり食事が摂れなくなるため、脱水症状も加わってひどい状態になった。

  どうも認知症患者にも、同じような傾向があるように思う。気温との関連はまだわからないが、どうも低気圧は苦手のようだ。ここ一週間、台風の接近で雨が続いている。癒しの水やりも、つれあいに禁止されて出来ず、ストレス発散ができない。昨日までは怒鳴ったり、物を投げたりしていたが、今日は頭が痛いと寝込んでいるようだ。食事を差し入れようとしたら、固辞された。本人は、体調が悪くて食べたくないのだろうが、義父の食事が気掛かりだ。「食べたくなった時に食べられるように、少しだけ運んでおきますね」と言ったら、断固として断られた。「私の大切さを、つれあいにわからせなければ…」だそうだ。

 

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認知症-物忘れ以外の症状 1

 ここ数日雨が続いている。雨の中、義母が花の水やりをしているのを見かねて、義父が「雨降ってる中、水やりをしたら、花が枯れるだろうが」とストップをかけた。先回りして、「水やりはお母様にとって大切な時間だから、見守ってあげてね」と一言声をかけておけばよかった。

 それから、義母の調子が悪い。お薬が効き始めて落ち着いてきたと思った矢先のこと。イライラ、カリカリが止まらない様子。何かと義父を怒鳴り散らしている。「あなたが病気がちで心配ばかりさせるから、私はこうなったんだ」とか「家事を一切合切自分にさせるから、ストレスが溜まったんだ」、とか。怒鳴り散らし、物を投げたりもしている様子。硬いものを投げてケガでもしたらと思うと心配だが、私が出て行くと義母の自尊心を傷つけてしまうようで、仲裁に駆け付けられない。

 怒鳴り声が収まったと思ったら、隣に住んでいる私のところに、義母本人から声がかかった。「あなたがひどく怒っていると、夫が言った」とのこと。「え⁈私が?どうして?何に?」絶句してしまった。物忘れの症状には、慣れてきたつもりだった。探し物を始めたら、落ち着いてもらって一緒に粘り強く探せば、そのうち安心して、探し物を私に任せてもらえるコツは掴んできた。しかし、妄想への心構えはまだできていなかった。

 

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