高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族のあゆみ

高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族の記録

従弟に相談する

 病気を発症して一年余り。私の頭の中は彼女の病気のことでいっぱい。けれど家族以外の人には話したことがなかった。秘密にしたいと思っていたわけではない。ただ話すきっかけも機会もなかっただけ。誰かに聞いてほしいと感じたこともなかった。

 ある夏の日、学会で近くに来たという東京の従弟が会おうよと声をかけてくれた。彼とは20年ぶりの再会になる。彼は父親を直前に亡くしていたので、叔父の話もしたかった。彼と会えたのは夜遅い時間。叔父の話をし、近況報告をしあっているときに娘の話になった。一旦話し始めたら私の心の奥深いところにたまっていたものがタガが外れたように噴き出した。どうしてほしいわけではない。ただ聞いてほしかった。

 彼は辛抱強く私の話を聞いてくれ、大変だったねとねぎらいの言葉をかけてくれた。そして信頼できる医者の友達を探してくれると約束してくれた。彼には医者の友達が多い。私たちの住んでいる地域にも医者の友達がいるはずだから連絡が取れ次第、また知らせてくれると言う。

 彼に話をして本当に良かった。まだ医者を紹介してもらったわけではない。明るい未来が見えたわけでもない。ただ私の胸の内を聞いてもらっただけで、肩の荷が半分降りた気がした。人間悩みを抱えているとき、一人で悩んではいけないのだ。人に話さなくては。何かが変わる予感がした。