高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族のあゆみ

高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族の記録

父の旅立ち

 認知症を発症した父は、それから2年間透析を続けながら母と自宅で過ごした末に2016年の秋に亡くなった。認知症の症状は幸いあまりひどくならず、病気の発症前よりも日々穏やかで、食事もおいしいおいしいと食したし、介護をしている母に対しても、感謝の言葉を絶やさなかった。

 勤勉だった父が、何もせず窓から日がな庭を眺める姿は切なく、私たちを打ちのめした。罪悪感に耐えられず、私たちのそばに一日も早く呼び寄せたくて、両親が揃って入れるケアハウスを探したが、末期の透析患者を入れてくれる介護施設が見つからず、罪滅ぼしの機会も得られぬまま、父を旅立たせてしまったことに、今も大きな後悔が残る。

 

 独り立ちしたみゆきを、父は見ているだろうか?

 

 父を壊した私を、許してくれているだろうか?