高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族のあゆみ

高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族の記録

最近の義母の様子

 実家の母が調子が悪くなってから母の方にかかりっきりになってしまい、義父母のお世話を怠っていた。かれこれ2ヶ月あまり。義父母には申し訳ない気持ちでいっぱいだったが、その間義妹と夫が頑張ってくれて、それはそれでいい機会だったのかもしれない。義妹は以前より頻繁に義父母のところへ足を運んでくれるようになったし、義母のケアマネさんとも直接話ができて、しっかり現状把握をしてくれたのではないかと思う。

 母が入院して私にも余裕ができたので、今日は久々に義母の内科の定期受診に同行した。相変わらず、出がけに保険証を探したり、お出かけ用のお洋服を探したり…と準備に思った以上に時間がかかる。待合室では、同じことを20回以上聞かれ、「あなた、目のためにウナギの生きたのを食べないといけないのでしょ?」(笑)と不思議な質問をされ続けるが、今の私にはそのどれもが愛おしく感じられる。マイルドな認知症状は、癒しだ。どうして莫大な読書量で頭を鍛えてきた私の母のような人が、鬱のような周りも一緒に辛くて辛くてたまらないような状況に引きずり込むような病気をしなければならないのかと悩ましく、時にはマイルド認知症の義父母を妬ましく思うことも正直あった。でも、確かに母も、その上義父母までが激烈な症状を抱える病気だったら、きっと介護をする全員が総倒れになっただろう。義父母だけでもマイルドな症状なのは、実は何よりありがたいことなのかもしれない。

 介護をしながら、その中に何かしらのおかしみを見つけていけるような、そんな日常を送りたいと、義母の介護を始めた時に目指したことを思い出した。残念ながら私の母の病状には面白さを見つけることはまだできない。が、義母の最近の出来事は、クスリと笑える。数年前に植えたブラックベリーが、今年初めて大量に実った。ブラックベリーなので、真黒に実らないと食べられないのだが、ブラックベリーを食べたことのない義母は、そのことを何度言っても忘れてしまうのだ。赤くなった時点で全部取ってしまう。嬉しそうに「今日は大量に収穫できたよ~」と持って来てくれるのだが、全部まだ未成熟な赤い実。ジャムにすらできない。そのたびに「ブラックベリーは黒くならないと食べられないのですよ」と伝えるのだが、忘却の人にはなかなか伝わらない。そこでベリーの横に「黒くなってから取ってください」と看板を立ててみた。看板を立てたすぐ次の日、ベリーのところに行ってみると、地面一杯に散らばった黒いブラックベリーの実。え⁈

 できるだけシンプルな看板の方が伝わるだろうと「取ってください」と書いたから?義母は「収穫してください」ではなく「取り去ってください」と解釈したようだ(笑)。こんな些細な面白さに癒されて、また母の面会に行こうと思う。