高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族のあゆみ

高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族の記録

認知症の方の意欲を後押ししたい

 お薬を処方していただき飲むようになって、極端なイライラ、カリカリは落ち着いているように見受けられる。主治医には、”お薬も大事だけど、それよりずっと大事なのは毎日の散歩だよ”と言われたことは、義母も覚えている様子。けれどどうも、その散歩にこぎつけない。”車はやめようね”と主治医にも言われたので、買物には歩いて行こうと宣言した義母。徒歩15分のところに、食料品も扱っているドラッグストアがあり、そこなら軽い散歩にちょうど良い。交通量も多くなく、経路もシンプル。何よりただの散歩でなく食料品の買い出しもできるのでモティベーションにも最適だと思われた。しかし、それがうまくいかない。

 当初、夫が仕事から帰って車で買い出しに同伴するのが、2人の関係性を作るのに最良だと思われたが、義母は夫と買物に行くと彼を待たせてしまうと気兼ねしたのか、もう一緒に行くのは嫌だと言い出した。”一人で歩いてドラッグストアに行くから結構”と言ったそうだ。散歩で買物に行くならば、それはそれで良いなと思っていた。歩きで買物に行くと重い荷物を持つのが大変だと思い、ゴロゴロ転がせるショッピングカートを差し入れた。夫も最近は歩いてドラッグストアに行っているものと信じていた。

 ところが、今朝のこと。工事の車が来るので義母の車を移動させようとした夫に”車の移動なら私がしておくよ”と義母。”近くの買物には車で行っているから大丈夫!”と言ったそうだ。ビックリ!”車の運転をするのは駄目だったよね”という夫に”近くなら大丈夫だよ”と義母。車は、いつもは、わが家の側からは見えないところに置いてあるので車を使っていたことに、全く気付かなかった。

 確かに、何十年も車の運転をしてきた義母、まだまだできるという自信があるのだろう。記憶力には自信がなくても、ほんの近くまでの買物なら…と思う気持ちもわからないではない。

 私の父が物忘れを始めた時は、すぐに(診断も待たずに)、母と相談して車を弟に持って行かせて取り上げた私だった。が、義母となるとそうもいかず…夫には車の鍵を預かったほうが良いんじゃない?車を売った方が良いかもね?と提案してはみるが、私にできるのはそこまで。本当はもっと踏み込まなくてはいけないのだろうけど。

 かわりに、根気強く散歩を勧めなければと思う。何度か一緒に行こうと誘ってはみたが、”今日は買物がない”とか”疲れている”とか”忙しい”とか、なかなかうまくいかない。

長距離の散歩の前に、近くのジムのトレッドミルで歩いたりスピンバイクで自転車こぎをして自信をつけてもらおうと思って誘うが、これもうまくいかない。30年位前には、同じジムでスイミングをしていた義母なので、水中ウォーキングに誘ってもみるが、この提案にも乗ってもらえない。何しろ今の生活の一部になっていないものは、きっと苦手なのだ。根気よく、工夫を凝らしながら背中を押すのが、きっと私の仕事。