高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族のあゆみ

高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族の記録

夢の続き

 以前に、義母は夢に見た現象を事実と勘違いしてしまうことがあるということを書いたことがある。いくつか現実とは全く違う夢の話を聞いたことがある。例えば”東京でカメラマンのアシスタントをしているみゆきが仕事を辞めて帰省する夢”を見た義母が「みゆきちゃんが、仕事を辞めて帰ってくるんだってね。」と言ったことがある。「それは夢だったんじゃないかな、まだ東京の仕事頑張っていますよ」と訂正して完全否定をするのだけれど、義母の頭の中はリセットされず、その後何度も同じことを周りの人々に話してしまうようなのだ。その話を義母が初めてしたのは、半年ぐらい前の話なのだが、それをつい最近義妹に言われて驚いた。「みゆきちゃん、東京が大変で仕事辞めて、帰って来るらしいね。」と。「いえいえ、それはお母様が見た夢の話です。」と訂正しておいたが、そんなことがしょっちゅうあるのだ。みゆきがこれを知ったら、多少複雑な思いはするだろうが、義母の認知症の話は娘にもしているので、それで大事になることはないだろう。だがごく近い身内以外の話だとそうもいかなくなる。

 昨年の11月くらいだっただろうか、近所に住んでいる義父の弟の夢を見た義母。”義弟の奥さんが、散歩で通りかかって義母にひどい悪口を言った”という夢。義父母は叔父夫妻とはとても仲良し。普段から義父母の様子を二人で見に来てくれる誰よりも優しい身近な親戚。普段は短いスパンで会いに来てくれていた叔父夫妻が、コロナが少し落ち着いていた時期、地区の活動などで忙しくて来訪のスパンが少しだけ長くなっていた。そんな時期に義母を気遣って、叔母が一人で訪ねてくれた直後の悪夢だったようだ。

 普段は、誰にでもとても優しい義母だが、その夢を見た後は激しく叔父夫婦を拒絶する。そして、本人たちにまで「あんなひどいことしておいて、よく訪ねてこられるね」とまで言う。毎年年末になると、一緒に餅つきをして、お餅も大量に持って帰ってもらう間柄。しかし、今年は餅つきの日にたまたま顔を出してくれたお二人を門前払いした。叔母は長年看護師をしていた人で、自身認知症のお母様を介護してこられた人なので、事情を汲んで「気を使わなくて良いよ。」と私たちには言ってくれるが、叔父夫妻に申し訳ないやら気まずいやら、どうしたものかと悩ましい。

 不思議なのは、みゆきが離職する夢にしろ、叔母の意地悪の夢にしろ、長い時間忘れないでいることだ。大事な書類の置き場や、今日買った食料品が何だったのか、どこへしまったのかはすぐに忘れてしまうのに、現実に起きたわけでもない夢の内容はずっと忘れられないとは。良い夢ならばいつまでも覚えていたいが、悪い夢を忘れられず、それが現実に起きたことにすりかわってしまうのは、厄介だし、何よりとても悲しい。