高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族のあゆみ

高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族の記録

キュウリの酢の物

 週末の買い出しに行って新鮮な鯵をゲットできた時には、義母が必ず作ってくださるものがある。鯵入りのキュウリの酢の物。酢で絞めた鯵が入り、丁寧に丁寧に手で刻んだキュウリの酢の物はその味もさることながら、歯触りが抜群で、昔から私も大好きな一品。

 義母は、お料理が非常に得意。義母の作ってくれたものはすべて美味しい。でもとりわけ、ちらしずしと、この鯵入りのキュウリの酢の物、それからサツマイモを細切りにして少しの粉をふって揚げたサツマイモ揚げは家族のお気に入り。認知症への入り口のあたりで、このサツマイモ揚げを作っていて大量の煮えたぎった油を被って火傷をしてしまったことがあり、このメニューは封印されてしまった。ちらし寿司は、多くの具材を細かく細かく切らなければならないので、本当に大変だと思うが、「この作業がおっくうになった」とは言わないのがすごい。今年のお正月には、いつもと変わらない美味しいちらしずしを振る舞って下さった。ちらし寿司や、サツマイモ揚げに比べれば労力が要らないとはいえ、義母の酢の物は私が使うようなスライサーなどという便利グッズを使わないし、一度に大量に作ってくださるので、大変な手間。手で切ったキュウリの方が断然おいしいからと手間を惜しまず作ってくださることが嬉しい。

 そのお決まりの酢の物を下さる時の、儀式が面白い。出来上がり直前に、「ゴマを切らしているから分けて頂戴」と必ず訪ねてこられるのだ。この時のために、私はイリゴマをストックしているのだ:)私が使いかけているゴマのパックと、「あ、そうそうストックがあったからもう一つどうぞ」と2袋渡すことにしているのだ。そうすれば、次の買物までなんとか途中で切らさず一週間を過ごせるようだ。ゴマを渡すと「あら、私が使っているゴマと同じのを使っているのね?」と言われるのが、これまたお決まり。

工夫を凝らして、楽しく朗らかに進めたら嬉しい。

 

 そういえば、起立性調節障害で苦しんでいた頃のみゆきも、この義母の酢の物が大好きだった。拒食症気味の時期に体が受け付ける数少ない食材の一つにもなっていた。塩味とさわやかな酸味がキーワードだったのかもしれない。気温が高くなってくるこの時期、いまだに私は心落ち着かなくなるが、当人はいたって元気。趣味に、仕事に楽しそうだ。