高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族のあゆみ

高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族の記録

娘を起立性調節障害から守れなかったというトラウマ

 大学院生の息子、みゆきの弟が県外から、2~3日の予定で帰省した。卒業後の就職に備えてマイナンバーカードを作るという口実だが、もしかすると私が退院したので顔を見に帰ってきてくれたのかもしれない。若者の特性で、夜が遅いのはごく普通のことだ。なのに、夜中の1時頃トイレに起きた私、彼の部屋に電気が赤々と点いているのを見て、急にドキドキと動悸がし始めた。

 彼は前と同じく健康そうで、高校時代よりもふっくらとしていてむしろ当時よりも元気だとわかっている。それなのに、なぜか高校時代宿題が終わらなくて、毎晩毎晩遅くまで勉強していて、電気を赤々と点けたまま、よく寝落ちしていたみゆきのことを思い出した。極度の睡眠不足や、宿題においかけられるストレスが病気の引き金の一つになったことは間違いないだろう。

 先回りの援助は、そもそもしたくない、とこれは子供たちが幼少のころから思ってきたことではある。でもあの時、宿題を要領よく済ませる時間の上手な使い方をさりげなく指南していたら、高校時代にあれほど苦しまずに済んだのではないかという思いに過去、何度とらわれたことだろう。みゆきが健康に仕事をできるようになった今でも、あの時、子供たちの人生に干渉しないと決めた私自身の判断が正しかったのかどうかわからなくなることがある。

 「まだ勉強しているの?」「眠れないの?」と聞くことは、決して干渉と言えるほどのことではないとは思うが、なぜか昔を思い出して声をかけられなかった私。それから朝まで眠れなかった。翌朝、さわやかに「おはよう」と起きて来た彼を見て、どれだけほっとしたか。朝起きてくるという、当たり前だと思っていたことが何よりも嬉しいと感じられる朝になった。

 東京も記録的な猛暑が続いている。「水分、塩分をしっかり摂るのだよ」と心の中で何度も唱える私。いや、これぐらいは、ラインのメッセージを送っても過保護ではないだろう‼思いやりの一言は、過干渉ではないはず!