高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族のあゆみ

高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族の記録

ちょっとした心配

 カメラマンのアシスタントをしているみゆきのこと。幸い師匠は、有能なカメラマンで人柄も素晴らしい方。雑誌の仕事の他にもご自身の作品の個展を各地で開催されるようなその方は、みゆきを上手に鍛えて下さっているように見受けられる。その方がみゆきをカメラマンのアシスタントに雇って下さったのは、みゆきがブラックな(失礼)スタジオで長時間労働をさせられて、疲れ果て、適応障害を発症し、まだ完全に治癒していなかった時期。明らかに顔色の悪い病弱な外見の彼女を雇って下さった英断にも感謝だが、その方は彼女に自転車を買い与え、運動量を増やすよう計らって下さった。とても思慮深い方だとお見受けする。その方のおかげで、運動音痴のみゆきは初登山を経験することもできた。個展の作品搬送のため、東京から大阪まで車の運転をさせたり、長野や山梨での取材にもみゆきの運転で出かけていると言うから、驚きだ。当初取材先で出されるお弁当は、たいていスポンサーからの提供になるので、お残しは厳禁だと説明された時に、勇気を持って”すみません。できるだけ努力はしますが、完食は無理です”と言ったみゆきに”胸に小食バッジをつけておけ!”と言われたと聞いて笑ったが、今では難なく完食できるようになったというから驚きだ。

 そんな彼女、アシスタントになってから2年あまり、そろそろ独立の準備をしていくようにと言われたそうだ。ぼちぼち小さい仕事を、師匠経由ではなく自分で取ってやっているようだ。だが、これがうまくいっていないらしい。幸い作品がうまくいかないというわけではなさそうだ。どうも値段の交渉や、支払い交渉がスムーズにいっていないようなのだ。先方が大手の会社だということに安心して始めた仕事なのに、先方のマネージャーがどうもしたたか。契約後に値引き交渉をされたり、支払いが滞ったり。頭を抱えている。できるだけ、師匠の手を借りずに何とか問題解決をしようと頑張っているみたいだが、どうもうまくいっていない。

 こんなトラブルはフリーランスの仕事にはありがちだと予想はしていた。が、何せ駆け出しの彼女。問題を持て余している様子。駆け出しの時期に、いろいろと問題提起されるのは悪いことではない。神様が鍛えて下さっているのだよ。年かさの私にはそう思えるが、きっと本人には相当しんどい試練だ。でも、高校時代にあのしんどい状況を切り抜けた彼女だ、大丈夫。きっと切り抜けられる。何か美味しいものでも送っておこうと思う。しゃしゃり出たい気持ちをぐっとこらえて。