高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族のあゆみ

高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族の記録

27歳になったみゆき

 みゆきが夏休みで帰郷した。師匠が家族旅行をするタイミングで取れた4日連続の休暇を利用しての帰省。カメラマンの仕事を始めて、こうしたまとまった休暇はなかなかない。せいぜい週1。ラッキーな週は2回お休みがもらえたりするが、ひどいときには10連勤など普通。広告撮影などが入ると下手をすると午前2時に仕事をスタートして終わるのはその日の21時なんて時もあるらしい。19時間勤務⁈まさに真っ黒なお仕事。というよりそんな業界なのか。この師匠について3年、いや4年目?師匠には2年くらい前からそろそろ独立、と言われつつズルズルとアシスタントのままの多忙な日々。自立すれば、多少は自分の都合で仕事環境を変えられるようになるだろうと、期待しながら待っているが、一向に環境が変わる兆候がない。そもそも睡眠障害を持っていたみゆきが、よくぞそんなひどい勤務形態の仕事を続けてこられたものだと、あらためて思う。

 どうして、こんな過酷な仕事を続けてこられたのかと自嘲気味に自問自答していた彼女。先ずは、この仕事が純粋に好きなのだろう。単に好きでは、しかし過酷な環境を乗り越えることはできないはず。知らぬ間に体力もついたのだと思う。自転車通勤を続け、仕事で重い機材を持って歩き、筋肉も鍛えられたはずだ。体の水分は筋肉に蓄えられるというから、筋肉がつくということは脱水症状も起こしにくくなっているのだろう。

 帰省するといつもの通り眠り姫になってしまうみゆきだが、さすがに一日中寝てはいないのが救いだ。本当ならば日頃の睡眠不足を補うために一日中でも寝ていたいのかもしれないが、少し大人になった彼女は、午後からは親を楽しませてあげねばと思うのか、家族とドライブをしたり、隣のジジババ孝行をしてみたり、入院中の私の母を見舞ったり。感心したのは、どこかに出かける時に必ず水筒に水を入れて持参すること。高校時代の起立性調節障害の苦しみで学んだ、水分摂取を今でも忘れていないようだ。自分自身のトリセツをしっかり確立して実践している。

 3泊4日は、あっという間だ。しっかり寝て、東京の貧乏暮らしではなかなか買えない果物をたらふく食べて、少しの親孝行とジジババ孝行をして、風のように帰京してしまった彼女。これからは、自分自身で取ってきた仕事も、アシスタント業務に加えて徐々に増やしていくようなので、ますます忙しくなるだろう。体を壊さぬよう新しい出会いや、忙しさをエンジョイしてくれたら嬉しいな。