高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族のあゆみ

高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族の記録

母を我家に

 田舎に一人暮らしの母を、我家に連れて来た。不調が始まって1ヵ月あまり。かたくなに我家に来ることを拒んでいた母だが、住んでいる田舎の家の排水がうまくいかないと電話してきたので、”そろそろ一人暮らしを諦める頃合いなのだよ”と説得して連れて来た。タイミング的には、不調の母を一人暮らしから連れ出す良いきっかけにはなった排水の不調ではある。しかし、相当悩ましくもある。この排水の不調、修理をしようとすると莫大な修繕費用が掛かりそう。この先、母の一過性の不調が落ち着いたとしても、86歳。不調を脱した後、その先何年も一人暮らしをするのは無理だろう。莫大な修繕費用を出す意味はあるのか。ただ、修繕をしなければ、家を売るのもさらに困難になるに違いない。

 そんな諸々の不安を、母は父が2016年に亡くなって以来7年もの間、一人で静かに抱えて来たのだ。心調子が悪くなるのも当然。これは、こんなにも長い間母の一人暮らしについて真剣に自分事として考えてこなかった私自身の落ち度でもある。そう思うと、母の心の暗い暗い闇に、私まで引きずられてしまいそうだ。

 まずは、母の心の不調を治そう。早速、半ば無理やり、かかりつけの内科に連れて行った。ひとまずデエビゴ錠5mgとセルトラリン錠25mgを処方して頂いた。軽い睡眠導入剤と、精神安定剤。大型連休が明けたら、メンタルクリニックを紹介していただく予定。私たちの前に立ちはだかる障害は小さくはないが、元気な心で考えたら、何か策は見つかるはずだ。

 こんなに心がしんどい時、みゆきが体験した苦難の記憶が蘇る。それでも、明るい未来は来ることをみゆきが体現してくれた。小さな一歩を積み重ねながら、前に進もう。内に籠らず、いろんな人にいろんな知恵を、貸してもらおう。まずは、音楽を聴こう。