高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族のあゆみ

高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族の記録

同居の破局

  母が来て6日目。弟一家にしばしのブレイクを懇願したので、正味5日しか経っていないというのに、我家での生活は破綻。母は、夫の前であることすら配慮できないくらいに落ち込んだ。この体調の急降下に、ついていけない。このままだと、夫まで鬱になってしまうと判断。排水が壊れてしまったという、実家に私と母とで緊急に移動することに。

 できるだけ冷静になろうと、車は極力低速で走らせる。幸い連休中で道路は混雑しており、飛ばし屋にあおられる心配もない。時間をかけて運転したにもかかわらず、実家にはあっという間に着いてしまった。車の助手席に座っていた母は、ひたすらうなだれて無口だったが、家に着くなり、猛スピードで水道の元栓に飛んで行く。しばらく自宅を離れることになるので、用心のために占めていたバルブ。バルブを開くと、トイレの貯水タンクが空だったことで、それを補う水が、自動的に流れる。バルブを開くと同時に水道メーターが回ったことが、母をひどく動揺させたようだ。「どこか、水漏れしている」と騒ぎながらあちこちを見て回る母。水道管が通っていると思われる自宅の敷地を、半狂乱で見て回る母。背骨の圧迫骨折をしてからは、用心のために杖をついている母だが、杖はどこかに放り出したまま。水道管は、当然のことながら地中深く埋まっているので、どこかに破れがあったとしても、なかなか目視はできないものなのに、辺りかまわず手で土を掘り返す母。母が壊れてしまった!!!!!

 ゆっくりと、母の顔を見て「水道管が破れているのではなく、トイレの貯水タンクに流れた水のせいで、メーターが回ったんだよ。今は何も水を使っていないから、メーターが止まっているはず。それを一緒に確かめに行こう」そう誘っても、母の心には届かない。携帯電話を取り出して、水道工事会社に電話する。私のすきをついて役所の水道課にも電話したようだ。半狂乱になっているというのに、その行動は道理が通っていて、そのことが不思議でならない。不安が募り、助けてもらえそうなところに、あちこち電話をかけようとするので、これは大変、と「わかった、私が電話するから携帯を貸して下さい」と携帯を取り上げて、鍵のかかった私の車の中にこっそり隠したら、これが母の狂気に火をつけてしまった。

 「携帯、あなたが取った!携帯がないと私は暮らしていけないのに!!!!!」と泣き叫ぶ。「あれ?携帯借りたけど、あの後返しましたよ。どこかにしまったのでは?」ととぼけたら、「あなたが隠した!」半狂乱なのに、ちゃんと事態を認識しているという怖さ。これから大型連休が続くのに、この状態で私はどうしたらいいのだろう?