高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族のあゆみ

高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族の記録

応援要請

 母と二人、実家に戻った日。半狂乱で泣き叫ぶ母をどうなだめて良いか途方に暮れて、自分自身すら壊れてしまいそうな気がして、弟に電話をした。「助けておくれ!」と。つい先日、母を預かってくれた直後だったので、どんな状況なのかをすぐさま察したのだと思う。日頃は仕事中に電話に出ることなど皆無に等しい弟が、すぐに電話に出て、仕事を切り上げて駆け付けてくれるとのこと。彼が来てくれるのを待つ時間の、長いこと、長いこと。母の背中をさすりながら、「セロトニンよ、出て下さい。いっぱい、いっぱい出て母をなだめて下さい」と唱えること2時間あまり。彼は、彼の妻まで同伴してくれた。一人で母に対峙するのが怖かったのか、人手が多い方が良いと思ったのか。

 彼の妻は、彼の高校時代の同級生。優しくて、とびきり絵心がある芸術的な人。彼らにも、みゆき世代の女の子と男の子がいて、幼いころに着せていた子供たちの洋服はよく同じ調子の物だった。一緒に遊ばせるときには偶然同じブランドの、同じデザインの、色まで同じものを着ていることもあって驚いた。洋服の好みも私とよく合う。ただ、彼女も残業たっぷりの働き者なので、彼女が仕事を休んでくれたことがありがたくもあり、申し訳なくもあり。でも本当に助かった。彼女が母の相手をしてくれる間に、私はストレス解消のために食事の支度ができる。彼らが去った後のために、おかずの作り置きもできる。

 義妹も、本当に根気強く、半狂乱の老婆に付き合ってくれる。「そうだね、心配だね。でも大丈夫だよ」を繰り返しながら。弟はその間何をしているかというと、実家に持ち込んだ仕事を淡々と片付けている。時々、「そんなにまともに返事しないで、軽く聞き流したらいいんだよ」とか偉そうなことを言いながら。

 二人が応援に駆けつけてくれたことは、本当に助かった。一人では絶対に無理だったに違いない。この上なくありがたかったが、彼らは明日も仕事だからと、夕方には帰って行ってしまうのだ。一人で対峙するのが、どんなに大変か身をもってわかっただろうに。ゴールデンウィークが終わるまであとまだ一週間はあるのだよ。