高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族のあゆみ

高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族の記録

癒しの出来事

 今春大学院を卒業する予定のみゆきの弟が帰省した。卒業後の引越の段取りなどを相談するために一泊だけ。夕方帰って来て、すぐまた次の日の午前中に行ってしまうという超ハードスケジュールだが、最近起こった諸々で、塞ぎがちだった我家に爽やかな風が吹き込む出来事になった。

 みゆきの弟は、幼少期とっても明るくひょうきんな子共だった。小学生の時には、体育と給食が大好きという典型的なわんぱくタイプ。でもいつも姉をいたわり、わがままな姉に遠慮して、一つしかないおもちゃやお菓子は必ず姉に譲る優しいさん。中学、高校になってからは、無口でクールな、本音が全く見えない人になってしまって、とても寂しい思いをしたが、ごく最近になって、ガールフレンドができてからは、少し柔らかくなって、少しだけ壁が低くなったように感じられる。

 その彼がお風呂上りに、修論や引越準備やらで、肩が非常に凝っていると言うので、ダメもとで「私の前に座ってごらんよ」と言ったら、意外なことに素直に私に体を預けて来た。ガチガチに凝った彼の肩をマッサージする。ハグやスキンシップをすると幸せホルモンの「オキシトシン」が沢山出ると聞くけれど、マッサージをしている私の側にも「オキシトシン」が大量に出ているのが分かる。

 彼の肩や背中をさすって、いっぱい出て来たオキシトシンで一気に幸せモードになった私。そしたら、思いもしなかった特別なサプライズが‼ 何も言わずに突然彼が私の背中に回ったのだ。「マッサージなら僕はプロにも負けないぐら上手だと思うんだよ」と言いながら私の背中をマッサージし始めたのだ。ビックリするやら、嬉しいやらで危うく泣きそうになってしまって、本当に勿体ないことに、「せっかくやってあげた私のマッサージ効果が減ってしまうといけないから」と逃げ出してしまった。今思うとなんと勿体ないことをしてしまったのだろうと、悔やまれてならない。

 そう言えば、みゆきがの闘病中に吐き気を催しているときや、頭痛がひどい時にそっと背中をさすろうとしたら、「触らないで」って怒鳴られたことがあったっけ。触られるのすら、苦しかったのだと改めて思い返すと、今でも喉のあたりがぎゅっと詰まって苦しくなる。

 そうだ!ちょっと気分を変えるために、桜が咲くころ一人みゆきを訪ねてみようかと思う。今の彼女の暮らしぶりも見たいし、高校生の彼女にしてあげられなかった背中のマッサージをやってみたいと思い立った。