高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族のあゆみ

高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族の記録

応援要請2日目

 弟夫婦が来てくれた日の夕食は、わりと穏やかな時間が流れた。長く食事もろくにできなかった母が、驚くほどよく食べ、食事が終わるなり、彼らに別れも告げずに眠りについた。まだ夕方の5時。こんな時間に寝てしまったら、明日の朝はどれだけ早いのだろうかと気が気ではないが、長い長い一日が終わって、皆クタクタ。母が寝室に引っ込んだので、この連休をどう乗り切ろうかという話題になるが、全員疲れすぎて、全く良い知恵が浮かばない。とりあえず、明日は連休の中休みなので、かかりつけ医に訳を話して、少し強めのお薬を処方していただこうという話だけさっさとまとめて、彼らも早々に帰って行った。私も早く寝かせてやらねば、明日の朝早くに起きなきゃいけなくなるだろうという彼らの深い思いやりだということは、重々承知だが、「私を母と2人にするのね」という恨みがましい気持ちになってしまうという情けなさ。

 当然、次の日も早起きだった。それも午前四時。私の名前を大声で呼ぶ母。しばらくは無視しようと布団をかぶったが、無理だった。母が私を探して徘徊し始めた。慌てて飛び起きて、簡単な朝食を準備する。早くお薬を飲ませねば、と気が急く。何とか朝食を拵えて、お薬を盛る。時計を見ると、まだ5時。散歩に出るにはまだ薄暗い。無意味にテレビをつけるも、この時間、癒しの番組などあろうはずもない。

 これからの長い一日を思うと途方に暮れる。と、そこに義妹からの電話。「大丈夫?」ここは姉らしく、「大丈夫だよ。心配しないで」と答える所だろうが、出て来た言葉は「大丈夫ではありません」それを聞くなり、「今日も仕事、休むわね。お昼ご飯を持って行きます」と義妹。「お昼ご飯なんてどうでもいいから、できるだけ早く来て」の言葉を飲み込んだ。

 美味しいと評判のパン屋で、とびきり美味しそうなパンを山ほど買って、駆け付けてくれた義妹。思わず、泣いてしまいそうになった。魅力的なパンの山なのに、誰も食指が動かない。早々に先日行ったかかりつけ医に、少し強いお薬をいただきに走る。病院は案の定、連休の中休みで、いっぱい。見たことのないような患者さんの列に呆然。母は、「こんなに混んでるんだからまたにしよう」と言い張るが、ここは譲るわけにいかない。たっぷり3時間は待った。それもその日は、担当ドクターのいない日。溢れる患者さんの列に辟易とした感じの看護師さんに「今度から主治医がいるかどうかを確かめて来てください」と嫌味を言われたが、そんなことに構っていられる余裕はない。「こんな優しさのない病院には金輪際来るもんか」と悪態をつきたいのをぐっとこらえて待って待って、やっと診ていただけたドクターは、普段はお坊さんという柔和な方。柔和な方ではあるが、私たちの困り感に、無頓着。絶望しながらも、お薬(クロチアゼパム5)をいただけたことに感謝して帰宅。早速お薬を飲ませたら、いい感じ。「お仕事、休んで来てくれたんでしょ?心配しないで気を付けてお仕事に戻ってね」と母。いやいや、もうとっくに勤務時間は過ぎていますよ。これで、今後は少し落ち着くのかと思えた。義妹が帰って行くのも笑顔で送ることができた。