高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族のあゆみ

高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族の記録

隣県の病院受診

 メンタルクリニックで書いていただいた紹介状を、隣県の医療機関に指示された通りにファックスして受け入れていただくことが決まった。順番が逆になったが、弟家族に相談し、母にも話して、早速次の日に受診する運びに。忙しい最中の弟家族だが、義妹が当日休みを取って、車を出してくれることになった。紹介者の従姉も休みを取って病院へ同伴してくれる運びに。母も、一応承諾した。

 義妹が車で迎えに来てくれる手筈の朝、いつもは夜中に眠れず未明からゴソゴソと動き出す母の部屋から物音が全くしない。まさかこの日に限って熟睡できたなどということは無いと思うが、もし爆睡中であれ、義妹が付くまでは寝かせておくことにして無視を決めていた。そしたら夫が出勤のため、家を出たタイミングで、鬼の形相の母が部屋から出て来た。そして、一言。「遠くへは絶対に行かない」

 いつもは、周りを優先し、決して自分の都合を言わない母から出たこの言葉に絶句。

そしてこの鬼の形相だ。これは母ではない。母が嫌だと言うのは、よっぽどのことだ。けれど、母の言い分を聞いたら、治療も遅くなる。その上、周りが破滅する。咄嗟に私も鬼になることを決意。「わかりました。でも、あなたの入院のために多くの人が動いてくれました。その人たちにあなたの決意を伝えて、お断りして下さい。便宜を図ってくださった、これから行く病院の院長さんにも直接お会いして、自分でそのことを伝えて下さい」

 そう言ったら、母の顔が一瞬正気に戻った。「わかりました。そうします」調子を崩して以来一度も見ていなかった、母の決意の表情にドキリとしたことは言うまでもない。