高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族のあゆみ

高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族の記録

ひ孫の来訪

 一昨年の秋に結婚式を挙げた、義妹の娘夫妻に女の子が誕生した。かわいがっていた孫娘の赤ちゃんなので義母も喜んではいるはずだ。出産から1月半が経ったので、お祝い返しを持参するとともに、初ひ孫のお披露目のために義父母を訪問したいと連絡があった。その来訪の連絡の日以来、義母の調子が悪い。目に入れても痛くないような特別に可愛がっていた孫娘の来訪だというのに、どうしたことだろう。私に「体調が悪いから、来ないように電話して」と言う。いやいや、特段寝込んでいるわけでもないのに、私からお断りするなど、どう考えてもできない。どうしてか聞くと、要領を得ない。その子の母親(つまり自分の娘)から嫌味を言われるのが嫌だ、とか、以前彼女が妊娠中に義父母に会いに頻繁に来るので、母親から「流産したらどうするの?そんなに頻繁に呼びつけないで」と叱られたことがあると言うのだが、私の知る限りそんな事実はなかったはずだ。

 日中何度も「孫に来ないよう電話して」と言いに来る義母。「私から『来ないで』とは言えません。もし本当に来てほしくなかったら、ご自身でお電話してください」とお断りすること数回。来訪予定の時間が近づくと「本当にものすごく具合が悪いから、来るなと連絡して。頭が痛くてたまらないの」と言い始めた。臥せっているどころか、大好きな庭仕事を一日楽しんでいるというのに。あまりに何度も来るので、「わかりました。来ないでとは私からは言えないから、私の家の方に来てもらいますね」と伝えて、しばし時間稼ぎ。

 と、孫娘が赤ちゃんを連れて現れた。途端、自分から二人を迎えにすっ飛んで行って大騒ぎで「はやく、上がりなさい」と自分の家に招き入れる義母。おやおや、今までの強いイヤイヤは何だったのだろう。赤ちゃんがいる間中、上機嫌の義父母。ことに義母は「こんな小っちゃな赤ちゃんを見るのは何十年ぶりだろう。なんて癒されるのだろう」と大はしゃぎ。さぞ二人の訪問の後は疲れただろうと思いきや、けろり。とても元気そうだ。むしろ、午前中の不調が吹っ飛んで、すがすがしい表情。「赤ちゃんって本当にかわいいね。早くあんたのところにも赤ちゃんできないかねと繰り返す。

 もしかすると…日頃は一緒にいない孫娘に、自分が忘却の人であることを見せたくないのかな。つい最近お正月にランチ会で会っているので、みんなわかっているのにな。それにしても、彼女の義母の扱い方は本当に上手だった。「実家には帰って来たの?おうちまで車でどれくらいかかるの?赤ちゃん連れで運転して大丈夫なの?」「夜泣きをするの?」「おっぱい育児しているの?」この3つの質問を延々とループのように尋ねる祖母に、何度でも変わらない調子で根気強く優しく穏やかに答える彼女。見事だ。この素敵な繰り返し、義父や夫、義妹にもお手本として録画しておきたいくらい(笑)