拒食症気味の彼女を救った料理がある。それはエスニック料理店のトムヤムヌードル。大学病院の受診を終えた後、学校へ行く道すがらに寄ったレストランの一品だ。当時、食事がなかなか摂れなくて体重がかなり落ちていて危機感を感じていた頃のこと。夏でも寒がる娘に、エスニック料理で暖まろうと提案したら、意外にも同意したので、たまたま寄ることになった店。
数あるメニューの中から、彼女が選んだのはトムヤムヌードル。もともとスパイスの効いた料理はあまり食べなかった彼女。少しいぶかしく思ったが、いや、それが大当たり。日頃は小鳥のようにしか食べられない彼女が、一人前をほぼ完食したのだ。驚きだった。途端に真っ青だった彼女の顔色がピンクに。本人もこれほど食べられるとは思っていなかったようだ。
それ以来、食事が難しく体重が減るたびに必ず行くことになった、エスニック料理店。命の恩人だと思っている。これを発見しなければ、彼女の拒食症はもっともっと深刻な状態になっていたに違いない。これ以降独り立ちしてからも、彼女は体調が思わしくないと感じるたびにタイ料理店を探してはスパイシーな料理を食べて、体調を整えることにしているらしい。
タイ料理のほかにも、体調が悪くなるたびに不思議と食べたがったものがある。わりと塩分の強いものや、スパイシーなもの、炭酸入りの飲み物である。
起床後朝ごはんが食べられないとき
→箱入りの小さなアイスクリーム
体調がひどく落ち込んでいるとき
→トムヤムクン、トムヤムヌードル
少し疲れたとき
→鳥のから揚げ(ケンタッキーのフライドチキン、コンビニのから揚げ)
うに丼、いくら丼
ラーメン
炭酸入りの飲み物