高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族のあゆみ

高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族の記録

なかなか気分が上がらない

 退院から10日。母の気分は相変わらず優れない。ドライブや美味しいものを食べに行ったりしようと誘っても、乗ってこない。「まだ調子が悪い。病院に帰りたい」と呟く。病院の方が安心感があるのかもしれない。でも、病院に戻ったら、もう戻ってこられないような気がしてならない。今朝は寒い日ではあったが、少し散歩をしてみようと誘ってみた。渋々ではあるが、施設の外に出てほんの10分ほど散歩してみた。近隣は細い道路ながら交通量は少なくないので、一人で散歩に出られては危ない気はするが、何より母の気分を変えたかった。お日様に少しでも当たるのも大事だと思えた。

 ゆっくりまったり散歩するつもりが、母は追いまくられているように歩くのだ。足腰が強いと言うわけではない。長い闘病でますます筋肉量が減っているのは手に取るようにわかる。なのに、まるで都会を歩くビジネスマンみたいに、趣のないせかせか歩きをするのは何故なのか。肺活量も落ちているようで、少し歩いただけで息も上がっている様子。ゆっくり、ちょっとずつ体力をつけていけると良い。

 今日は母の気分が上がるように、簡易な補聴器を手に入れて、それも持参してみた。自分で試着しても、音が増幅している実感がなかったが、母は声が大きく聞こえると言う。人の話が聞こえるようになることで、なかなか晴れない母の心の霧が少しでも取れますように。