高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族のあゆみ

高校生で起立性調節障害を発症した娘と家族の記録

起立性調節障害

驚きの鬱対策

仕事が再開して、コロナ前のような日常が戻ってきた。今でも彼女は、定期的に精神科を受診して、睡眠導入剤と食欲増進剤を飲んでいる。鬱を発症したことは、師匠にも話したという。 経験の豊富な大人であっても、弟子が鬱であることを告白したら、多少なりと…

鬱を発症

眠れない、食べられない、が続いて2度目の精神科受診をしたみゆき。「”鬱だね”って言われたわ」とさらりと言う。どんなことがあっても、たじろがない、うろたえないと決めていたのに、狼狽する私。”鬱”なんて珍しくはない、誰にだって起こりうる病気で、ち…

緊急事態宣言解除直後のみゆき

新型コロナウイルスでお籠り生活が始まって、2ヶ月弱。運動やお日様を浴びること、人と話すことが難しくなるこの状況には、本人も危機感を感じていたようで、3日に一度は、必ず食料品を買いに出て、そのついでにちょっと長めの散歩をしたり、きちんと食事を…

再就職その後

カメラマンさんの直アシとして再出発したみゆき。”小食バッジ”をつけて仕事を始めた彼女だったが、仕事を覚えてモリモリ働くうちに、小食バッジをつけなくても大丈夫なほどに心身ともに元気になってきた。動くから元気になる、元気になるから食欲も増す、食…

再就職

前の職場だったスタジオをやめて、ひと月足らず。花屋の面接を受ける一方、カメラマンの直アシの仕事を見つけたみゆき。直アシというのは文字通りカメラマンの直のアシスタント。スタジオマンとの大きな違いは、スタジオマンはスタジオで多くのカメラマンの…

退職届を提出する

休職してから4か月。みゆきは意を決して職場に退職届を出した。ここから就活を始める。休職している間に、就職先を探した方がいいのではないかとも思うが、きっちり区切りをつけてからでないと、前に進めない。前の職場に申し訳ないと、みゆきは考えたよう…

傷病休暇3か月目

傷病休暇を取り始めてから3か月になる、みゆき。肉体的な疲労がピークだった時に比べると体調は上向き。ただ、仕事をしていないという罪悪感は日々膨らんでいる様子。休み始めた当初は新鮮だった、友達に会うこと、料理をすることすら、もはや楽しめていな…

傷病休暇の延長

職場に傷病休暇を申請してから、ほぼ1か月。メンタルクリニックでの相談の結果、もう一か月休暇を延長したようだ。その間、必死で仕事をしていた一年間、朝から夜中まで働いていたせいで会えなかった友人たちに会ったり、大学時代にお世話になった恩師の方々…

適応障害発症

就職して1年くらいたった頃から、頻繁に、わけもなく涙することが増えおかしいなと思っていたという。もしかすると鬱かもしれない、と思い至ってメンタルクリニックを尋ねたところ”適応障害”と診断されたとのこと。 鬱と違って適応障害は原因となるストレス…

みゆきの近況(就職から1年3か月)

みゆきが就職してから、一年がたった頃、彼女の生命保険のことを考え始めた。就職してからずっと忙しく、生活も不規則なのが気になって、もし体調を壊しても安心して治療に専念するには、休職中にも経済的に困らないための何かが必要なのではないかと考え始…

父が壊れた本当の理由

私からの手紙で、みゆきの病気を知った父。父が壊れた理由は、みゆきのことを深く心配したからという単純な理由ではないと思っている。かわいがっていた孫の病気は、確かに父を悲しませ、心配させたには違いない。だが、私は父の心の傷をもっともっと深くえ…

父の旅立ち

認知症を発症した父は、それから2年間透析を続けながら母と自宅で過ごした末に2016年の秋に亡くなった。認知症の症状は幸いあまりひどくならず、病気の発症前よりも日々穏やかで、食事もおいしいおいしいと食したし、介護をしている母に対しても、感謝の言…

父が認知症を発症する

父は、みゆきの病気を告白する私からの手紙を読んで以来、眠れない日々を過ごしたという。あっという間に私が送った、ODのことを説明する書籍を読んでしまって、私への返信を書いてからも、ずっと眠れなかったらしい。 父がおかしくなったのは、それからしば…

父が壊れた

それは、みゆきが受験旅行に行くことを決め、センター試験を受けた頃のことだ。私の母から電話があった。父の様子がおかしいという。どんなふうにおかしいのかと聞いても、母の答えは要領を得ない。すぐに両親のもとにかけつけた。 父に会って、具合を聞くと…

私の父に娘”みゆき”の病気を告白する

先回りの手出し、口出しはしてはいけないと自分を戒めていたのに、私は父に手紙を書いた。父がみゆきに”受験はどうするの?どの大学を受けるの?”と聞かないように。 彼女の病気の詳細と彼女が学校へ行けていないことを伝え、気長に療養するので黙って見守っ…

あとがきのあとがき-私の犯した大きな過ち-

既に、一連の記事を書いてきて、ひととおりのことは書き終わった。しかし実は、肝心のことを書いていない。私の犯した大きな失敗のことだ。みゆきの闘病に付き合って、いろいろな小さな失敗を重ねたことは書いてきた。朝起きの苦手な彼女を起こすときに、大…

あとがき

娘のみゆきが高校2年で起立性調節障害を発症。なかなか病名がわからず悶々とする日々。恐怖に打ちのめされそうだった。病名がわかっても治療法がわからず、手探りの毎日。「今は娘と共に闘う時だ」と決心して仕事を辞めたものの、辞めて良かったのかと迷い…

学校についての問題提起

みゆきの行った高校は、地方の進学校。毎年難関大への合格者も多い。多いとは言っても、全員というわけではない。スポーツに大きな比重をかける人も、芸術大学へ行く人もいる。 しかし、授業はどうも難関大を目指す人向きに組み立てられているのではないかと…

病気が教えてくれたこと

病状が重かった高校時代の2年間は、本当に苦しかった。今まで、薬を飲めば数時間、遅くとも一週間もあれば元通りに元気になるという病気しか知らなかった。なので特効薬の無いこの病気は、体力的にもしんどかったし、ずっと闇の中にいるようで、先が見通せ…

就職

大学時代に出逢った ”写真" に魅せられて、みゆきは写真家になる道を選んだ。東京で職を得て、大学寮を出る。正真正銘の一人暮らしの始まりだ。 朝ごはんをしっかり食べ、お弁当を持って早朝に家を出るというのが、彼女が自分で作ったルール。でも、時には疲…

大学時代の体調

朝起きと、歩く習慣が好循環を生み、みゆきの体調は見違えるように良くなった。高校時代の彼女の笑顔は、何だか暗く陰りがあった。顔色が悪かったからそう見えたのかもしれない。大学生になってからの表情は底抜けに明るい。しかし大学時代の4年間、ずっと…

大学生活

満開の桜に出迎えられて、みゆきの東京での大学生活が始まった。大学寮に入り、約40分をかけて電車で学校に通う。経験したことのない満員電車にゆられて気分が悪くなり、途中下車することを繰り返したあげく、ラッシュになる前の、早朝の電車に乗るという技…

初めての一人暮らしへ

思いがけず大学に合格し、みゆきの止まりかけていた時計が動き始めた。4月からは東京で一人暮らしだ。しかし未だに顔色は悪く、食欲も回復していない。疲れると、以前のように激しい頭痛と、吐き気で動けなくなり、眠り姫になる。 東京での住まいは、学生寮…

高校の卒業式

合格発表から卒業式までは、本当にあっという間だった。引っ越し先を決め、もろもろの引っ越し準備もあってバタバタしていたせいかもしれない。 卒業式の当日、彼女には「自分で起きるように」と前もって言ってあった。卒業式の当日まで私が起こし、タクシー…

高校卒業まで

結局3校受けた私立大学のうち、合格したのはアート&デザインの大学1校だった。合格しなかった2校については、本人何も言及せず、心は合格したその大学に向いている。「学費が、他の学校より高いけれどぜひ学びたい」と父親に懇願する。 受験一人旅という…

さくら咲く

私たち家族も、大学受験をした本人でさえ信じられないことに第三希望だった(第三希望というより、3年になって新たに受験校に加えたと言うべきか)アート&デザインの大学から合格通知が来た。彼女がまだ受験旅行の最中のことである。高校2年の発病以来ほ…

受験旅行

彼女が受験するのは3校の私立大学。うち2校は、発病前に行きたいと思っていた大学。病気のために受験勉強がほとんどできなかった彼女だが、どうしても挑戦はしてみたかったようだ。落ちることは彼女も覚悟の上。残りの1校は、高校2年の夏に何校かのオー…

いざ、単身二次試験へ

受験旅行の出発の日。彼女に頼まれたので、朝6時にメトリジンを飲ませる。するとお決まりの彼女を起こす儀式(カーテンを開けて、窓を開けて、声をかけて・・・)をせずに、一人で起きてきた。朝食もきちんと食べる。出かける父親と弟に爽やかに挨拶をして…

センター試験後

今までのみゆきを見ていると、卒業と受験という具体的な目標を持ってから意欲は上向きになったものの、実際の体調は2日ハードな日を過ごすと2~3日崩れるというパターンだった。センター試験はまるまる2日、それも早朝から夕方までのしごくハードな日を過…

受験旅行の手配後~センター試験まで

受験旅行の手配をしてからの彼女は、心が軽くなったようで、今までになく明るい。やはり目標の力は偉大だ。体調が良くなったわけでは決してない。朝はメトリジンの力なくしては起きられないし、起きても学校へは這うようにして行く。一日学校へ行った日には…